AYURVEDA

アーユルヴェーダは、サンスクリット語の「アーユス(生命)」と「ヴェーダ(真理・叡智・科学)」から成る言葉で、「生命の科学」または「寿命の科学」と訳されます。これはインドで発祥した、5,000年の歴史を持つ伝統医学です。

・アーユルヴェーダの目的

”健康な人の健康を護り、病人の病気を鎮静すること″
アーユルヴェーダとは有益な人生と無益な人生、幸福な人生と不幸な人生、人生にとって有益なこと、人生にとって無益なこと、人生の長さ・人生そのものについて説かれているもののことを言います。
(チャラカサンヒター ※アーユルヴェーダの古典)


・予防医療としてのアーユルヴェーダ

アーユルヴェーダは、インドやスリランカだけでなく、ヨーロッパでも広く使われている重要な医療システムの一つです。
世界保健機関(WHO)もアーユルヴェーダを正式に推奨しています。
西洋医学が主に病気の治療に焦点を当てているのに対し、アーユルヴェーダは病気の予防と健康の維持に重きを置いています。

西洋医学は健康か病気かを判断して治療しますが、アーユルヴェーダは健康から病気に至るまでの過程を段階的に見ています。
アーユルヴェーダは、以下の段階で体の状態を捉えます。

1 .健康な状態
2 .体に問題がたまり始める
3 .問題が悪化する
4 .体に異変が出る
5 .異変が特定の場所に現れる
6 .病気がはっきりと現れる
7 .病気が慢性化する

病気がはっきりと現れる前の段階から体の変化に気づき、早めに対応することがアーユルヴェーダの特徴です。


・アーユルヴェーダの基本概念 | 5エレメント

アーユルヴェーダでは、人間や動物、木、山、海、川など森羅万象のすべてが「空」「風」「火」「水」「地」の五大元素から成り立っていると考えられています。
自然界のすべてを大宇宙と見なし、その法則がそのまま人体に対応する小宇宙にも流れているとあります。
古代インドの伝承医学であるアーユルヴェーダは、聖者たちが深い洞察力で宇宙の法則を理解し、その叡智を人体に応用したものです。

・3つの生命エネルギー | ドーシャ


アーユルヴェーダでは、心と体の活動を司る「生命エネルギー」を「ドーシャ」と呼びます。
ドーシャには大きく分けて、「ヴァータ」、「ピッタ」、「カパ」の3種類があり、5つの元素によって構成されています。5つが互いに影響を及ぼしあい、常にその割合は変動しています。これらのバランスが崩れると心や体の調子が悪くなり、病気になると考えられています。
ドーシャのバランスを自分に適した状態に整えることで、心身ともに健康な状態を保つことができるとされています。


VATA ヴァータ
空と風の性質を持つ運動のエネルギー

人体内のあらゆる動きに関与しています。
手足を動かすこと、体内に取り入れた栄養を運ぶこと、老廃物を排出すること、神経系の伝達機能などがその役割に含まれます。
属性には、乾性、冷性、軽性、微細性、移動性、清澄性、粗性があり、これらの特性に対して逆の属性を持つ薬物によって即座に鎮静されます。
独創的で機敏、快活で順応性があり、理解力が高い。
創造性が豊か。
決断力に欠け、気分の変化が激しく、緊張しやすい。

PITTA ピッタ
火と水の性質を持つ変換のエネルギー

燃焼によって物質を変化させ、熱を発生させます。
また、胃酸などの液体状の消化液に見られるように、
水の元素も併せ持っています。
食べ物を消化して体の栄養に変換し、
外部からの情報を知的に消化して知識とする働きも担っています。
属性には、軽度の油性、温性、鋭性、流動性、酸味、移動性、辛味が含まれ、
これらの特性に対して逆の性質を持つ薬物によって即座に鎮静されます。
野心的で情熱的、知的で勇敢。
リーダーに適しており、完璧主義のために時には支配的になったり、
感情が高ぶることもある。

KAPHA  カ
水と地の性質を持つ結合のエネルギー

物質を結びつけ、形を作る性質を持ちます。
ヴァータやピッタは変わりやすく不安定なエネルギーですが、
カパはそれらを安定させて形を維持する役割を果たします。
骨格や各臓器、血液、体液など形のあるものはすべてカパによって支えられています。
属性には、重性、冷性、柔性、油性、甘味、停滞性、粘液性が含まれ、
これらの特性に対して逆の性質を持つ薬物によって鎮静されます。
平和で慈愛深く、献身的。
心が落ち着いて穏やかで、人の役に立つことが好き。
一方で、鈍感で大雑把な一面もあり、変化に抵抗しやすく、頑固で保守的な性格でもある